<映画>蜜蜂と遠雷:音楽ってなんだ。

 

 音楽なんもわからん。

 蜜蜂と遠雷みてきました。レイトショーでひとが少なくてのんびり観ることができてよかった。原作は発売した年かその翌年(2016? 17?)に読んだけど、映画化するとは思わなかったよね。作者さんがおっしゃっているように映画化なんて無理な小説なんですよ。原作めちゃくちゃ良いので読むと幸せになれます。映画の感想だからそっちにはあまり触れないけど。

 音楽は素人も素人なのでそのへんの演技とかはわかんないですけど観測範囲内で批判している人はいなかったので気にならないと思う。

 公式予告とか見て問題なければ安心↓

mitsubachi-enrai-movie.jp

 

以下、ネタバレを含みますのでなにとぞ。

 

・全体

・栄伝亜夜

・風間塵

・そのほか

 

・全体:構成が巧い

 原作の小説は心理描写が濃厚で、分厚いです。普段あまり本を読まないひとはハードルに感じるのでは。私はその重厚感というやつが好きで、読んだ年はしばらくハマってた覚えがあります。だから、映像化できるとは思わなかった。心理描写こそが醍醐味というかハマりどころなのにそれを言葉にできないって無理だと思う。あと普通に尺も足りない。

 でも、うまく再構成したなあと観ながら感心してしまったんですね、誰目線?

 私は刷り込み(?)が激しくて、要するに原作至上主義なのでメディアミックスは基本嫌いなんですけど、それでも楽しめた。同じ作品なのに、楽しみ方がまったく違う。すごいなあ。

 小説も台詞は多いほうではないと思うけれど、映画はそれに輪をかけて台詞少なかったな。その分の描写は、目元、仕草、口角に全部表れていたので役者ってすごいなあとも思いました。特に睫毛が好き。フェチじゃないです。

 

・栄伝亜夜

 「あや」って名前はいろんな漢字があると思うんですけど、この字はめちゃくちゃ好き。人の名前の音と漢字との組み合わせって日本語ならではの楽しみ方ですよね。好き。

 マサルと会ったときに「あーちゃん」「まーくん」って呼び合うの良いです。あのへん私のイメージだともう少し落ち着いた印象だったんだけど、思ったよりテンション高めだった。友人と何年越しの再会! みたいな経験がないですね。演技が良くて、立ち止まるとき回想してるとき安心して笑うとき全部の動きに彼女の心情が映されていたので満足。ピアノの演技どうやってんだろうなあ、めちゃくちゃ練習してあれやってるなら本当に感動。「必死な音」っていうのは私にもなんとなく感じ取れたのですごい(語彙力0)

 塵との連弾シーンが特によくて、心が触れ合ってるかんじが伝わる。原作とちょっと違う場面でしたね、場所設定とか。

 

・風間塵

 実写化にあたって一番不安だったのこの子。天才で飄々としててでも明るくて、ピアノが好き。「ホフマン先生」って言うときのほわってした顔が好き。ぶっちゃけこの子にハマる人間なんているのかとか思ったけど全然問題なかった。むしろ風間塵だった。オーディションで受かった新人役者さんらしいけどめっちゃハマっててよかったなあ。想像より可愛い系の顔ではありましたね。イメージ的にはもう少しミステリアスで、何考えてるのかわかんないタイプかと思っていたけど可愛い系に寄っていて、これはこれで風間塵だなあ……。

 

・そのほか

 私が好きだなあと思ったシーンは、やっぱり「春と修羅」のときの明石さん。「生活者の音楽」を掲げて挑む姿と家族との小さな衝突とそれ以上の愛が感じられてじんわりと幸せな気分になった。「春と修羅」のカデンツァの部分、私は明石さんのが一番好きでしたね。一番一般人で、普通なんだけどだからこそああいう舞台に立つのは誰よりもすごいことだと思う。

 マサルは私の好きなタイプではないんだけど、亜夜との絡みが好き。あとは、彼が先生に対して反駁(というほどでもないか?)したシーンは彼の意志が感じられてよかったなあ。あとは、亜夜に「コンポーザーピアニストになりたいんだ」って打ち明けるところも、信頼関係~!ってかんじですね。それに対しての亜夜の反応もよい。

 いろいろ書くことはあるはずなんだけど、如何せんここまで書くのに時間が経ってしまった。やっぱり見たあと速攻でメモしないとダメだなあ。

 

 あと、音楽のことは全然わからないので音楽経験のある人がこれを見たらどうなるのか素直に気になった。コンテストとか発表会とかの舞台がどういう感じか、気になる~。音楽経験のない身からするとわけわかんないこといろいろあるし、逆もあるんじゃないかな。

 あ、スピンオフの「祝祭と予感」も読みました。本編読むのは大変……ってひとはこっちだけでも読むとめちゃくちゃ良い補完になって最高だと思います。1時間くらいで読める。

祝祭と予感 | 株式会社 幻冬舎

 

 教訓、感想文ははやく書くべき。

 あと、秋の夜風のなか自転車を漕ぐのはめちゃくちゃ気持ちいい。

 おすすめ映画情報お待ちしています。

<映画>ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝─永遠と自動手記人形─:不幸になるはず。でも幸せは手紙と郵便屋さんが運んだ。

 ネタバレを含みます。観てないひとは観てから一緒に語りましょう。観たひとは拙くても許してください。

 そういえば、基本的にこうして書くのは自分のための備忘録で、あとでなにをいつ観たのか、どんな話だったのかを思い出しやすく、そして忘れにくくするために書いてます。昔から映像が苦手で、すぐ忘れる。小説ならそれなりに覚えてるんですけど。

 

 前提として、私は本編を見ていません。なんか、お手紙と永遠と姉妹のお話ってことだけ聞いて行った。ときどき見かけるイラストがあまりにも好みだったので。

 

 結論としては、作画で泣きそうになり、音響で泣きそうになり、物語で泣きました。ねえ、そういうのずるいって言ったよね。バイト後のレイトショーで観て、今日の疲れがなかったことになるくらい幸せな時間だった。働いたお金もなかったことになった。

 

・作画

 好みのイラストだなあって思ってたんですよ。もともと京都アニメーションは繊細な作画で有名だけど、恥ずかしながら会社とか意識したことなかったのでぱっと見で「ああ、好きだなあ」って。女の子の好みが色素薄い髪で個性的なまとめ方をしている、なのでヴァイオレットは本当にデザインから好きだった。キーイラストの、イザベラもといエイミーなんですけど、眼鏡じゃん。好きじゃん。過去はショートじゃん。好きじゃん。

 一応公式サイト載せとこ。

www.violet-evergarden.jp

 あ、あと、好きポイントは洋服ですね。ここまで綺麗な表現は見たことないなあって思うくらい一つ一つの靡きとか翻すところとか見入ってた。ダンスシーンの足元の表現、優雅で良い。

 そして、ベネディクト・ブルーに情緒めちゃくちゃにされた。髪型から瞳から背中、足元まで全部好きでした。助けて……ってうわごと言いそうになるくらい。あの服めちゃくちゃすごいやばい推しです!!

 

 感情が感情になると、「許してください」「助けてください」を言いがちなんだけど誰かわかってほしい…………。

 

・「自動手記人形」

 これが多分微妙にわかってないポイントなんだけど、ドールと呼ばれる彼ら(彼女ら?)は、何者なんでしょうか……。本編見ればいいですか?? あのね、ヴァイオレットの「お客様がお望みならどこでも駆けつけます。自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです」が淡々としていてかつ相手を思いやっていて、これは映像というかプロだからこそだなあって思いました。だって、いくら文脈があるとはいえ文字面だけだと素っ気ない印象の方が強くなる気がする……。最初に「ドール」って名乗っていたから、機械人形かな?とか思ったけどどうやらそういうことでもないらしい……とかいうのを観ながら考えていたからかもしれませんが。

 本編みたらTwitterで騒ぎます。何卒。

 

・物語

 書く順序も項目もめちゃくちゃなんですけど、深夜テンション一発書き感想文だからいいや。

 公式曰く、

生きることに絶望していた少女が「永遠」を見つける物語。

 ってなってる。

 ……もうこれでいいのでは??

 解釈とか、本編観ていない以上破壊するだけなのでしないけど、映画の台詞って一つ一つがすごく短い。映像だからこその見せ方で、映画だからこそだとも思う。表情とか空気とか音とか、そういう一つ一つがこの作品は全部繊細で、「永遠」っていう言葉の儚さが似合うなあと思いました。アニメとかだと一話の尺が難しいんじゃないかな。

 構成としては前・後って感じのお話だったけど、これもうまいなあというか、前情報ない人間にとってはあまり濃厚にやられすぎてもついていけない感じがあるのでちょうどよく楽しめた。雪見だいふくっぽい。

 好きなシーンは、前編でエイミーがヴァイオレットと舞踏会で「ありがとう」っていうところと後編でテイラーがエイミーに会いに行く前にヴァイオレットの両手をとって「ありがとう」っていうところです。ヴァイオレットが繋いだ姉妹……。ため息が出るほど綺麗だったし、ヴァイオレットもきっとあの瞬間にエイミーのことを思っていると思うと、感動してしまう。

 好きな台詞は、やっぱりベネディクト・ブルーの「届かなくていい手紙なんてないからな」ってやつかな。彼、まじで私の好みだから助けてほしい。文脈込みで、あの台詞はわかりやすく感動的でした。手紙書きたくなる。

 

 ところで、この前とある事情からすでに製造中止しているタイプライターを打ったんですけど、音が和むからちょっといいなあと思ってしまった。あれを義手で打ってるの、概念として完璧すぎませんか。

 

 以上、ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝感想でした。ときどきヴォイオレット・エヴァー外伝って言いたくなるよね。午前一時のピノは美味しい。

<映画>名探偵ピカチュウ(字幕):もふもふおっさんピカチュウ

 名探偵ピカチュウ(字幕):もふもふおっさんピカチュウ

※ネタバレを含みます。一応注意。

 

 

 

はじめに

 先日のプロメアに引き続き、名探偵ピカチュウを見てきました。字幕版。

 公開から結構経っちゃったんですけど、よく「もふもふしたい」「なんでこの世界にはポケモンがいないんだ」「フシギダネかわいい」などいろんな感想を目にしていたので満を辞して。最後にポケモン映画みたのいつだろうな……昔は劇場でもらえるつよいポケモンとか目当てに前売り券買ってゲーム持ってってたんだけどな……。

 ちなみに、一番好きなポケモンはずっとフシギダネです。図鑑No. 001だぞ。

 

 期待値も予想値も高く、出来もよかったので安心して見られました。おい、ティム~~って最初思いかけたけど全然そんなことなかったね。ピカチュウを最初に「パートナー」って呼んだときは泣きそうになった。あとは、割と序盤に泣いたんですよ。ティムが最初にピカチュウを認めたところ。「お前には悪いことしたな」「そうだね」みたいなところ。サトシとピカチュウの物語もあるけど、こっちはこっちでまた別の良さ。言葉が通じるからこそでもあるし、お互い子供じゃないからっていうのもあるよね。

 

ピカチュウ

 前評判通りにおっさんで笑っちゃった。でも、いい感じにテキトーで私の今まで知っているサトシのピカチュウとはまた別方向の可愛さがある。なんだろうね、顔がしわしわになるところとか可愛くないんですけど愛らしい? まあさすが全世界に愛されてるポケモンだけあるよなって。リザードン戦のときに「使い方忘れちゃった……」しているの予想通りだったけど間に可愛さを感じた。でも、でんこうせっかくらいなら出来るんじゃ……? お父さんだからダメか。

 ところでポケモンの技って大抵はかな表記じゃないですか。「電光石火」という単語を知る前にポケモンの絶対先制できる技としての「でんこうせっか」を知ったのでいまだに電光石火と表記するのなんか違和感。わかってくれ。「ゆきなだれ」とかさあ、それ雪崩じゃん。雪雪崩とはあんまり書かないよね。

 

フシギダネ

 ピカチュウのピンチに現れたフシギダネが最高に可愛くて死んだ。あの瞬間だけでも観た価値があります。でも「フシギダネがいっぱいだ~~~~」って思ってたせいで、同時に現れたキノコみたいなポケモンよく観てなかったごめんなさい。あと古のポケモントレーナーなのでキノコポケの名前わからん。ぐぐる

 やはりフシギダネが最高で最強ってことがわかった。でも鳴き声、あれなんて文字に起こせばいいのか……可愛かったけども。ポケモン七不思議に、ピカチュウの鳴き声は「ピカッ」とかなのに、他のポケモンはそうでもないというのがある。フシギダネもアニメだと「ダネフシェッ」とか鳴いてくれるのめっちゃ可愛いよな。ゲームだと「んばーにんががっ!!」とかいう伝説がいましたっけ。

 

ミュウツー

 我らがミュウツー! 人工のポケモンだからさすがにつるっとしたビジュアルでくるのかと思いきやそんなことなくて、なんか……こう、もしゃあっしゅわぁっってしていた……。目もちょっと暗いかんじのトーンだった気がする。ぶっちゃけめちゃくちゃスペック高いし、ゲームでの個体値とか知らないんですけど今でも多分結構上位にいるんじゃないかな……? いてほしい。素早さと特攻で殴ろう。ところで、映画内で使ってた彼の技がわからないので、なんか知ってるひといたら教えてください。

 ミュウツー様かっこいいですね。全部ぶち壊してほしい。でも「正しき人間もいると知った」なんて物分かりというか良いミュウツーだったな……。逆襲EVOLUTIONもたのしみですね。

 

おわりに

 人間のキャラに関しても「わ~すき~っ」てできるんですけど、終わらないのでとりあえず観た直後の感想ということで今回はあっさりめに。(前回のプロメアはよくわからんジャンルでそこそこ期待してたのに最高の方向に裏切られて興奮したから長文怪文書を書きましたが、)今回は「ポケモン!」っていうこれまでの信頼にきっちり寸分違わず答えてくれたので狂ったオタクにはならずに済みました。

 でも、やっぱりポケモンと一緒に過ごせる世界、最高だよね。んでもって絶対悪用するやつらがいるから最低だよね。ミュウツーにふっとばされてほしい。各タイプ一匹ずつでいいから揃えられたら大量の食費だけですべての生活と大量の癒しが手に入るんだぞ。ついでにフシギダネが私に甘えてくれるかもしれない。嬉しい。

 

 ストーリーの筋も「家族愛」「ポケモン愛」がそれぞれ引き立っていてとてもよかったです。精神をポケモンにいれるあたりに関しては疑問もあるけど、ポケモンという圧倒的信頼感が補ってくれますね。精神入れてる間の人間の状態、ポケモン側の精神、ミュウツーがそんな簡単に捕まるか?みたいな諸々。でもお父さんの帽子かぶったピカチュウが思った以上に可愛かったから些細なことはどうでもいいよ。

 R吸ったエイパムたちが襲撃してきた瞬間、わりと本気でびびって身体跳ねたけど周りにひといなかったのでよかったです。

 薬物は、「ダメ、ゼッタイ」だよ。ダネフシェッ!

 

おわり。

<映画>「プロメア」:それでもきっと、宇宙にとってはちっぽけな物語

※この文章は勢いと深夜テンションで書かれた感想文です。人類にプロメア視聴をお勧めする、あるいは解釈や考察の正しさを主張するものではありません。また、後半にはネタバレを含むためご注意ください。観てから一緒に狂いましょう。

 

プロメア:それでもきっと、宇宙にとってはちっぽけな物語

 

はじめに

 "For me"の物語を摂取した直後の瞬間、「すごく厚みがあった、長かった」「あっという間だった」って二つの矛盾した感情がいっぱいになる。だから書き殴っちゃった。

 普段ほぼ映画を観ません。年一、二回かな。 Twitterでしばしば「プロメア」の文字をみかけるから、ぐぐる。五月下旬に公開の映画。SF。彩度の高いイラスト。勢い。よくわからない文字列がいっぱいだった。でも、あまり映画を見ない私でも目に留まるくらいTLでよく見かける。あと、ヒロインがバンドリの推しやってる佐倉綾音さん。あやねる!!! じゃあ観るか。くらいの勢いで観に行った。

 サイトのあらすじ見ても「その世界観はどうなってんだ」みたいな感想。脚本や監督を意識して映画を見たことがないのでそういった予備知識も一切なしだった。「ぶっ飛んでる」のはわかったけど、私は割と考察が好き、静かなやつが好き(たとえば「言の葉の庭」とか)なので合うかなあという一抹の不安はあった。

 

結論(ネタバレなし)

 面白い、楽しい愉しい!!!!!! 制作陣が全力で楽しんで作ったのが伝わってくる。このモーション絶対やりたかったんだろうな、この台詞は三日三晩かけて練ったんだろうな。

 アニメ制作のTRRIGERも知らなかったのですが、一緒に見た友人曰く「ああいうことやる」らしいですね。イラストの彩度の高いこと高いこと。明度も高い。目が痛くなった。目と耳が痛くなりがちなのであんまり観ないんです、映画。

 キャラ。サイトみた限りではほんとにヒロインのアイナしか覚えてなかった。あやねるだし、女の子が好きなので。声優さんも寡聞にして存じあげずですね、名前を見たことある人はちらほら? くらい。デザインはまじで彩度と明度が高い!!!! 割と独特なテイストなので好きな人はハマるやつですね。めちゃくちゃ映像が似合う。むしろ映像じゃなきゃこれはできないんだと思う。どうしても、小説の方で物語を摂取することが多いので「文字にしたら」とか「漫画だとどうだろう」とかを考えがちです。うん、これは映像だ。そしてこの圧倒的な勢いを楽しむなら映画館だ、と思う。漫画でもこの怒涛のアングル転換、声や音が足りない。

※ここからネタバレかつハイテンションモード入ります。注意。

 

 

 

 

 

 

 

 

キャラ組織別コメント

 どうやって語ろうかと思ったけどひとまずキャラや組織ごとにコメント。長いので全部読まない方がいいです。知らん。

ガロ(ガロ・ティモス/CV. 松山ケンイチ

 「燃える火消し魂」という矛盾を抱えたバカ(褒め言葉)。カッコつけ名乗り口上で出てきた最初のシーンは「主人公にありがちな猪突猛進馬鹿だ~~~」と思った。実際そう。無知で周りに甘えるタイプの主人公が苦手なんですけど、ガロは周りを信頼してぶっ飛ばしてる。ねえ制作陣、彼の「マトイ」とかのやつ遊んだでしょ。ガンダムみたいなやつ。楽しそうだね。最高かよ。

 彼の最高ポイントは後半にかけてです。自分にとっての「英雄ヒーロー」が、誰かにとっての「悪魔」だった。そんな事実を自分が「敵」と認識している奴から知らされて、一度は疑ったとしてもきちんと受け入れる。そして、直談判しに行く。馬鹿なの?? 好きです。最後は「英雄」とも「敵」とも向き合って、自分の正義のために戦う。挫折や後悔のカケラはなくて、どこまでも真っ直ぐ。「燃えていいのは魂だけ」だから。かっこよいですね。

 

アイナ(アイナ・アルデビット/CV. 佐倉綾音

 ヒロインアイナ。私の今まで見てきたどのヒロインよりある意味でヒロインっぽくなかった。違うんだよな、彼女は多分、主人公適正も持ってる。その言葉は正しいのかわからない。だってサイトには「どこかクールで落ち着いてい」るって書いてあるんですけど、彼女、ガロの次に単独行動しまくってたよね?? レスキュー隊ってそれでいいの?? ってことは置いておいて、彼女はヒロインもしっかりこなす。氷の湖のシーン、よかったですね。ああなるのはちょっとわかってたし、ヒロインである以上お約束ではある。

 彼女の最高ポイントはヒーロームーブもヒロインムーブも、妹としてのムーブも、隊のツッコミ役としてのムーブも全てが似合うところ。いわば万能のアイナ。どんな状況にいても、その場での関係性を踏まえた最高の立ち位置で踊るって感じ。

 

バーニングレスキュー隊の皆様(?)

 手紙じゃないですけど。上に書いた二人の他のレスキュー隊メンバーは尺の関係でまとめちゃう。

隊長:イグニス・エスク/CV. 小山力也

副隊長:レミー・ブグーナ/CV. 吉野裕行

隊員(重機ギア担当):バリス・トラス/CV. 稲田徹

隊員(メカニック担当):ルチア・フェックス/CV. 新谷真弓

マスコット?:ビニー/CV. ケンドーコバヤシ

 

 隊長~~~~! 圧倒的に隊長が信頼と信用の塊。なんとかフォースの悪役っぽいひととぶつかりあうシーンがやばいカッコよかったですね。ルチアさんも好き。最近某goで万能の天才がロリになったあたりで、趣味人かつ技術屋をよくみかけるのでそれもあるかな。ぶっちゃけ声がネズミっぽいなと思ってしまった。最後の方でガロとリオがリオデガロに乗って現れたときに「なんで私の開発したやつじゃないのに乗ってるの! そんなの見たことない!」感がめちゃくちゃ好き。趣味に振り切れた巨大感情。ちなみにネズミさんはビニーです。(上映中ずっとビリーだと思ってたとか言えない。)なんであそこにいるのか気になる。なぜルチアと大体一緒にいるのか、みたいな背景ほしい。どっちもネズミっぽいから? 

 筋肉キャラのバリスもレストランでピザ食べまくるのよかったね。ほんとはそこじゃないです。彼の怪力、もっとちゃんと目に焼き付けとくんだった。間違ったこと語れない。最初の方まだ混乱してて誰が誰だかわかってなかったなんて言えない。

 レミーもだな。キャラデザが好き。私の好きになる二次元男の要素が詰まってるんですよ。サポート的立ち位置で顔がいい。あと眼鏡。うううーん、彼に関してももうちょい活躍がほしかった気持ちが否めない。

 総じて、彼らの関係性がもっともっと深くてもよかった。ただプロメアは三者三様、というかそれぞれの視点、アングルがあるので尺がある以上バーニングレスキューはこれで適切だったとも思う。でもルチアさんの髪型とかどうなってるのかめっちゃ気になりません?

 

クレイ(クレイ・フォーサイト/CV. 堺雅人

 英雄でもあり、悪魔でもあり、人類愛と人類悪の両側面を持った権力者。まあポジ的には自分の好みとは言い難いけど、完全に責めることはできないんですよ。だって自分が彼の立場だったら同じことしかねないよね。髪色は違うけどキャラデザ見た第一印象は「ポケ○ンのタケシみたい」だった。その優しげな目のせいで、最後の「悪役」やってる時とのギャップがめちゃくちゃ引き立つ。割と裏切るタイプの人間は途中までの瞳の動きとか瞼の陰りとかでわかることが多いけど、これやられちゃあ……ちょっと……わかんなくない? いやガロが直談判した時にはわかってたけども。

 最後、バーニッシュっていうのは想定範囲内の予想外。想定範囲ではルートとしてそういう可能性もあるんだけど、要素としてはともすればやりすぎになりかねない。でも、彼はうまかったね。「氷」を開発して扱う人間が「炎」についての理解がないはずないんだよな。肩幅広くて大変そう。

 

研究所、科学者の皆様(?)

 かなり謎が深い括り。

秘書:ビアル・コロッサス/CV. 柚木涼香

研究者:エリス・アルデビット/CV. 小清水亜美

科学者:デウス・プロメス博士/CV. 古田新太

 

 この三人はそれぞれ立ち位置が違って一括りにして語るのは絶対正しくない。でも、このあともあるので許されたい……。ビアルさんは、ごめんなさい、名前覚えてなかったです。でも権力者の忠犬っているよね。必要ポジだと思います。もうちょい人間的側面が……ってそれも物語的に余計なんだよな。

 エリスは、とっっっっっっても好き。今回の女性キャラで一番好きだった。一見妹より大人しそうな見かけをしていて、冷静さを欠いた妹に素直に「愛してる」って言える巨大感情の持ち主。そして、妹さえよければ……っていう想いだけで生きてる。身を削って、きっと研究者を選んだ。そして、その理由にも妹のアイナの存在が関係しているだろうなと思わせるお姉ちゃん。大人しくて賢い女ほど重いのいいよね。

 おじいちゃん博士はぶっちゃけここに入れていいのかも謎。よくないね。誰にも正義があって、誰にも悪があったプロメアの人々のなかで一番すべてを知っていて囚われたおじいちゃん。感情の大きさは(コンピュータだったし)計りきれないんだけど、被害者であり立役者って感じかなあ。彼に関しては適切な表現を探すのがとても難しい……。

 

ヴァルカン・ヘイストス/CV. 楠大典

 THE・AKUYAKU☆の見た目をしたいかつい人。警察兼軍事的な組織<フリーズフォース>の大佐、らしいです。長官だと思ってた。何が違うのかわかってない。

 いっつも左右で目の開き具合が違ってる。友達少なそう。この人の部下とかもっと描写あっても……(以下略)

 お名前一番覚えられなくてすみません。でも最後に意外にもちっちゃいのがわかったやつは笑っちゃった。明らかな「悪」でありながら、一番の「悪」ではなかった。プロメアの一番の「悪」は強いて言うならばクレイだけど、彼にも正義はあって、彼はどちらかというと日和見に近い。警察というより軍隊的な性質が強いのはおそらくプロメポリスという都市の性質上、なんだろうな。

 今キャラデザ見返したんですけど舌が長い。

 

リオ(リオ・フォーティア/CV. 早乙女太一

 リオくん!! プロメアMVPです。最高。一秒も解釈違いの瞬間がなくて公式と握手したいタイプのオタクはみんなリオくんの虜になる。彼は「人を殺さない」という誇りを持ったバーニッシュで、特典映像みてもわかるんですけどめちゃくちゃ最高な性格をしている。誇り高い。完璧な容姿。想像より低めの声がゾクっとする。最初ガロに「オカマ」呼ばわりされるくらい中性的で整った少年(青年?)だけど、信念をもっていて頭も回る。「燃やさなくては生きていけない」と語るときの無表情が彼の全てを物語ってると思うんですけどどうでしょう。

 後半、竜になって(というのは若干の語弊があるかもしれない)暴れる場面は完全に目の色が変わってた。復讐と信念。仲間のため、というのは当然だけど多分彼は過去にも色々あったよね絶対。仲間のため、はまわり回って自分のためだなんだかんだとかいうエゴに悩むのはちょっと尺が違ったな。なし。

 最初にガロと「バカだな」のやりとりしておいて、そのときは完全に目が敵愾心むき出しなんだけど、それでも芯はブレない。そして最後にガロと協力して世界を救う。「バカだな」のやりとりをして、拳合わせるのあれテンションマックスだよね。最高。自分でも何言ってるかわからない。

 あと個人的にラ行が頭文字の二文字のカタカナ名前は中性的な子が多いです。

 

バーニッシュの皆様(?)

 プロメア全体を通しての犠牲は、おじいちゃん博士以外にはバーニッシュばかり。洞窟で灰になった少女と実験台にされた青年。君が焼いたピザを食べたかった。バーニッシュ、(名前の響きが)カッコいいよね。

・ゲーラ/CV. 檜山修之

・メイス/CV. 小西克幸

 

 リオが現れる前にバーニッシュを率いていた二人。ゲーラは雷刃、メイスは風刃のタトゥーが入っているそうな。それぞれパワーとスピードってかんじらしいけど、そこまで明確に二人の差異が出る描写は、あった、かな……。だめだもう一回見ないと。

 まだまだ掘り下げられる二人だけど、一押しポイントは、フリーズフォースに見つかったときにリオを助けようと遠くにびゅーーんしたやつですね。「お前の炎は最強だ!!」とか言われたら「君たちが最高だ……」ってなるじゃん? なる。

 ちなみに特典映像が見られるカードのやつはゲーラでした。へへっ。

 

世界観について

燃え上がるのは世界か、魂か──。

全世界の半分が消失したその未曾有の事態の

引き金となったのは、

突然変異で誕生した炎を操る人種

<バーニッシュ>の出現だった。

あれから30年──

攻撃的な一部の面々が<マッドバーニッシュ>

名乗り、再び世界に襲いかかる。

対バーニッシュ用の高機動救命消防隊

<バーニングレスキュー>

燃える火消し魂を持つ新人隊員・ガロと

<マッドバーニッシュ>のリーダー・リオ。

熱き魂がぶつかりあう、

二人の戦いの結末は──。

ABOUT | 映画『プロメア』公式サイト 5/24(金)全国ロードショー

 

 これがすべて!!!(そんなわけ)

 最後のどんでんでんでん返しがめちゃくちゃ爽快だったし、クレイVSガロ&リオの戦闘は笑いをこらえるのに必死だった。めちゃくちゃ楽しいじゃん、あんなの。クレイは間違いなくその技術をもうちょい別の方向に傾けることを考えるべきだったと思うよ、うん。

 世界観考察は苦手だから、完全なる主観による所感をば。

  • 舞台はフランスがメイン?(ガロデリオのdeはフランス語っぽい響き)あと、テラスでの食事風景からも欧米っぽさ。
  • 30年前に全世界の半分が消失しているので現代との細かい繋がりは気にしないべきか。
  • 時代に関しても、様々な進歩技術があるからわからない。でも30年前でも今より発展してそうな気がする。
  • これに関しては市民生活描写が少ないのでわからない。バーニッシュ避難民の服はそこそこ原始的だった気も。
  • バーニッシュは並行宇宙プロメアの火の精の代弁者。エネルギーはプロメアから、衝動もプロメアと共有している
  • バーニッシュは突然変異。だけど、クレイが「最初に衝動を抑えきれなくなったのは大学生のとき……云々」って言ってたから、発現年齢には差異がある? またはプロメアの力(地球の核のプロメアも?)が増大することで後天的になるひともいる?
  • 個人によって扱える火の力に差異があるのは、いわゆる才能なのか。それ以外の要因があるのか。リオやクレイの「最強」「お前より強い」などから前者の可能性が高そう……?
  • バーニッシュたちのバイクと突然でてきたスーツは何でできてるんですか?? 炎?? だったら一般人バーニッシュも訓練とかすればよかったのかな。
  • おじいちゃん博士の、「ガロとリオがきたのは偶然」という発現もちょっと気になる。物語的には必然だから、あえてそれを語るのはやはり必然性があるからなのでは……。でもその周辺描写の細かいところは覚えていない。運命というやつか。

 

 一番むずいのはやっぱり平行宇宙概念で、SF初心者にはしんどいのでそういうものとしておく。んんん、最後ガロとリオが協力してバーニッシュの力を平行宇宙に戻したあとは平行宇宙との接続は切れた。太陽系全体にばびゅーーんって広がっていったけど、平行宇宙はそもそもなんなのか。プロメアの存在する平行宇宙との影響が太陽系全体にあったなら、多分他の惑星に移住してもいずれ問題になったと思う……。あ、でも先天性の突然変異で、選ばれた1万人、か。じゃあ、後天性発現説は撤回しまーす。

 

ストーリーと関係性の話

 結論も大事だけど、いわば関係性の話はネタバレ込みの結論というか総括だから。プロメアは世界観と圧倒的勢いで押すのはわかってるけど多分関係性が語るの一番得意なので二つだけ。(決してCPとしてみているわけではなく、あくまでも「関係性」の話。)

 

アイナ、エリス姉妹

 この姉妹最高。最高……。重すぎる天才姉と、そんな姉を素直に慕う万能型妹ヒロイン。「愛してる」のシーンも、「アイナがまだ乗ってない!!!」のところも「間に合った!!」も好き。かっこいい姉妹だ……。巨大感情がどちらかというと姉に寄ってるのが地味にプロメア全体の感情バランスに効いてると思うんですよね。アイナから姉への感情が読み取りづらいけど、だって絶対アイナ視点やってでもして、もうこれ以上供給過多したら天に召されてしまう。どんどん日本語がヘンになっていく。

 ぶっちゃけ、女性が少ないのでめちゃくちゃオアシスでもあると思う。自分は巨大感情にひれ伏したけど、百合世界線も認めるよ、うん。でも巨大感情なんだ。

 

ガロとリオ

 これが全て。それぞれ単体でも一万字レポート提出できるけど(ちなみにここまで6,245字)、やはりプロメアはそれぞれの「譲れないもの」「大切なもの」がぶつかり合うなかで「世界を救う」っていうテーマがあるから、主人公一人じゃ語れない。主人公馬鹿だし。

 プロメアは、「矛盾」と「必然」がもう一つの軸にある、と思う。ガロのところでも言ったけど、「燃える火消し魂」は「炎上」と「消火」あるいは「昇華」の矛盾。冷静さがなくちゃ火は消せない。火を見て「燃える」なんて思うのはレスキュー隊の鑑とは言えない。でも彼は鑑である必要がなくて(だって新人だから)、ある種のフラッグシップだからそう在ることができる。

 もう一つは「氷」と「炎」。だって、氷と炎だったら炎が勝つんだよ普通。ポケ○ンやった? この世界で、消火には水も氷も使っている。それはこの世界で「炎」が熱を持つものと定義されているわけじゃなく、なんだっけ、平行宇宙の意思を持った生命体? みたいなやつだからなんだよな。バーニッシュは炎を燃やしてるわけじゃなくて、プロメアの「思い」みたいなものを燃やしてるんだと思う。それこそ、「昇華」に近いのでは? 炎が何を燃やすのか消費するのかは古今東西いろんな物語がいろんなことをしてるのでここで語るのはむしろ野暮、ということで炎概念からは退散。

 こうして、それぞれに矛盾を抱えたダブル主人公は最初は「敵」として出会う。次に洞窟での出来事を通して、特にガロがリオたちを「おんなじ人間」だと認め、この時点で心の中の「英雄」も「自分にとって英雄的な役割を果たした人間」になるんじゃないかなあ。ガロとリオの関係性の変化は、ガロからクレイへの感情変化と並行して行われてる、と思う。

 リオが竜になったとき、ガロは相変わらず火を消すし敵対している。でも敵じゃない。・・・・それぞれの正義を認めている。それが反発しあうからクレイを前にしてもまだ完全な協力関係に至れない。そこでおじいちゃん博士が現れるけど、そのトリガーを担うのはヒロインだよねっていう。そこからは共通の目的「救う」があるから協力する。ホントはクレイも人類愛ゆえだったはずなんだけど、もう完全に二人とは信条を違えてしまったから。

 そして、ガロは「世界を救う」だけど、リオは「救う」対象は必ずしも世界じゃない。たぶんそんな大きなことよりも彼は目の前の「仲間」を優先する。彼のいう「仲間」は下手したら「世界」よりも大きなものなのに。エモい。

 最後の戦闘シーンはシリアステイストでも十分良かったのに、あれこれ遊びを入れてきたのが制作陣の本気というか全力疾走を見た感じ。ガロの「マトイ」発言を聞いてちゃんと答えるリオくん最高以外の何者でもない。最後の瞬間まで最高。人類、生きたね。

 プロメアはいなくなったけど、リオくんは本当に仲間を救えた。ガロは世界を救えた。二人の英雄は、これからもいい友達でライバルで大切な仲間なんだろうなあ。

 

 おわり。また思いついたことがあれば加筆修正するかもしれません。